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4月 1, 2025

値上げ4000品目

値上げ4000品目
4月 1, 2025

2月が逃げ、3月が去り、今年もエイプリルフールがやってきた。

テレビやネットには誰も傷つけないたわいのないウソがあふれている。

ばかばかしいと思いつつも、何かうまいウソはないものかとついつい思案してしまう自分もいる。

年度初めのこの日には、暮らしにかかわる法律や各種制度の改正も目白押しで情報のブラッシュアップが大変だ。

そして今年はもう一つ、 春の値上げラッシュが大きな話題になっている。

ここ数年は、値段を据え置きしながらも数量やサイズをじわじわ減らすステルス値上げに注目が集まっていたけれど、小手先の工夫もそろそろ限界か、ここへきてさすがにホンモノの値上げが目立ってきた。

日経新聞によると今日から実に4000品目以上が値上げするんだとのこと。

さらには今年中に2万品目の値上げが予定されているそうだ。

これもウソならよいけれど・・

待ち人来る

つい最近まではデフレスパイラルからの脱出が経済政策の最優先だったはず。

異次元の金融緩和や最低賃金の引き上げなど、躍起になって人為的インフレを起こそうとしてきたことを考えると今の状況はまさに待ち人来る、目標がかなってよかったね、とも言えそうだ。

でもどうだろう、目の前に広がる生活感の悪化を見ればそう簡単なことでもなさそうだ。

待ち望んだはずのインフレのいったい何が問題なのだろう。

そう、インフレにもその原因によって「良いインフレ」と「悪いインフレ」がある。

そもそも物の価格は需要と供給のバランス、せめぎあいによって上下する。

オークションを思い浮かべるとわかりやすい。

「欲しい人が多いのに希少なもの」の値段は上がるし、「欲しい人が少ないのにありふれたもの」の値段は下がる。

「良いインフレ」とは物価も上がってるけどその分収入も増えているので買い物に困らない状態。

これなら生活感は低下しない。

その一方で「悪いインフレ」とは、物価ばかりが上がってしまって収入アップが追い付かない状態。

これでは買いたいものが買えずに生活苦を感じてしまう。

人手不足や円安などを原因とした原料高(コストプッシュ)で始まるインフレも、適正な価格転嫁がやがて企業収益を引上げ、賃金として従業員(=消費者)に分配されれば、時間差はあるにせよやがて購買力が高まりディマンドプルインフレとなっていく。

経済が比較的小さな範囲で完結していれば、値上がりから得られる収益がスムーズに分配される。

つまりは比較的早く収入も増えるから良いインフレが起こりやすい。

ところが今の世の中はもう少し複雑だ。

これほどグローバル化が進んでしまうと、値上がりの収益がどこに流れているのかよくわからない。

大幅な初任給アップが話題になった大手企業の入社式インタビューを複雑な思いで聞いている氷河期世代も多いだろう。

観測の心得

物価の動きは金利や景気のそれとともに人生航海にとっては重要な気象要件の一つだ。

これを無視して安全快適な航海はままならない。

一方で恐れすぎてはいつまでも港を離れられない。

FP=人生の航海士としてどんなことを心がけて観測していけばよいのだろう。

CPI

インフレを測定するための代表的な指標に消費者物価指数(consumer price index=CPI)がある。

およそ600品目の小売りやサービスの価格を全国の事業所で調査集計するものだ。

この指標が上がった、下がったという評価によって日銀が金融政策を決定 (金利を上げ下げ) したり、政府が税制を調整(定額減税や暫定税率の改廃)したりする。

そもそも選択されている600品目が正しく実態を表すのか、という疑問もあるけれど、このCPIには一部品目を除いた亜種が存在することでさらに話をややこしくする。

近ごろ、値段が上がって話題になっているキャベツや白菜、お米などの生鮮食料品が含まれない「コアCPI」や、そこからさらに石油、天然ガスなどのエネルギー価格を退場させた「コアコアCPI」などがそうだ。

もちろん、これら一部品目を退場させるのには訳がある。

生鮮食料品は気候に左右されやすいし、エネルギー価格は為替に影響されやすい。

これらを除いたニュートラルな指標が必要な場面もあるだろう。

でも、少しうがった見方をすればインフレの実態をどう評価したいか、とか、どう見せたいか、によって都合よく使い分けることも可能ともいえる。 

たとえば・・

インフレ政策の失敗を隠したい政府

インフレを機に金利を引き上げたい日銀

インフレを誇大吹聴して視聴率を稼ぎたいワイドショーやYouTuber

インフレの恐怖をあおって投資商品を拡販したい金融機関

インフレに乗じて便乗値上げを目論む商売人

etc….

今日のニュースでさかんに使われた「4000品目以上が値上げ」にしたって、対象にしたのはどうやら195社にすぎないし、業種もどういう基で選んだのかわからない。

どれだけのうちの4000品目なのか、つまり分母が何品目なのかはどこにも見つけられなかった。

しかも、値上げ幅がどのくらいなのかには全く触れられていない。

「4000品目もが値上げ!」というとなんだかスゴイけど、もしも分母が4万品目なら値上げされてるのはたったの10%(もちろん5000品目中の80%かもしれないけれど・・)。

そもそも自分が購入することがないものなら、いくら値段が上がろうが構わない。

個人のファイナンシャルプランニングでまず重要なのは、自分が必要として普段から購入しているモノの値段が何円上がって生活費がどの程度ダメージを受けるのかだ。

そしてそのダメージを昇給や運用益などで吸収できないようなら、そこで初めてギャップを埋める心配を始めればいい。

次に、この傾向が続いた先、将来のライフイベントにどの程度の影響が出るのかという見通しだが、こちらばかりを心配していては船は前に進まない。

情報を冷静に見極めながらできる準備は整えつつも、まあ誰もがみんな同じ波風にさらされるんだからなんとかなるよね、という楽観も時には必要だ。

どうも最近はエイプリルフールに限らず、人を惑わす大袈裟な情報が蔓延している。

ときに人は、自分には全く関係ないニュースにも過剰に反応してしまう。

そんなクセを自覚しておくだけでも航海が少し楽になる。

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