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8月 11, 2020

住宅ローン金利の成分

住宅ローン金利の成分
8月 11, 2020

史上最低水準の超低金利!

かれこれもう四半世紀、耳にタコができるほど聞いてきたうたい文句だ。

そうはいっても事実は事実。

ざっくりと過去30年を振り返ってみよう。

1990年から現在まで10年ごとの30年固定金利で比較すると以下の通りだ。

年(7月)30年固定金利3000万円、30年返済の毎月返済額金利総額
1990年5.5%170,336円3132万円
2000年2.7%121,679円1380万円
2010年2.32%115,747円1167万円
2020年1.3%100,681円625万円
2000年までは(旧)住宅金融公庫融資の基準金利、2010年以降はフラット35の最低金利

さらに変動金利となると、現在ではメガバンクでの0.5%台、ネット銀行などではついに0.4%を切るような金利まで見かけるようになった。

この間ずっと住宅ローンにかかわってきた人間にとっては、現在の金利水準は正直な感覚として少々意味不明(??)。

とはいえ、意味不明と言っていてはプロっぽくないので、その意味を読み解いてみよう。

これがわかると、その金利がお得なのか、そうでもないのか、そんな判断がしやすくなるからぜひ知っておきたい。

住宅ローン金利はどのようにして決まるのか。

金利はお金のレンタル料といわれる。

何千万円もの住宅代金を自分で調達するにはあまりに時間がかかりすぎる。

だから、銀行からお金をレンタルしてくること、これが住宅ローンだ。

DVDレンタルと同じように、借りたもの(元本)を返すのは当たり前だけど、借りている期間に応じてレンタル料(金利)を払わないといけない。

だから、レンタル料がどのように決まっているかを考えれば住宅ローン金利の中身もわかりやすい。

さて、レンタル料はどのようにして決まるのか。

まずは「調達原価」と「販売管理費(販管費)」、

さらに貸し倒れを一定数見込んだ「危険負担(リスクプレミアム)」を少々加えて、あとはどの程度の「利益」を乗せるかだ。

利益
危険負担
販管費
原価
レンタル料の内訳

例えばレンタルDVDショップなら「DVDの仕入れ価格(原価)」、「お店の賃料や光熱費、その他広告宣伝費や人件費(販管費)」、「未返却(借りパク)対策や最悪の場合返却されない場合の損失の見込み(危険負担)」、「それらを差し引いた後に残したいショップの儲け(利益)」とそんなところだろう。

では住宅ローンの場合はどうだろう。

住宅ローンの仕入れ価格(原価)

まず、銀行は住宅ローンとして貸し出すお金をどこで仕入れているのか。

大きく2つの方法がある。

一つはそう、みんなからの預金だ。

だからざっくり言ってしまえば銀行にとってお金の仕入れ原価とは預金者に支払う金利のことだ。

預金者に支払う金利が1%かかるならそれ以上の金利で貸し出さないと原価割れになる。

ちなみに今ならいくら?

そう、限りなく0に近いよね。

ただ、預金金利は市況によって上がったり下がったりする。

でも、変動金利の住宅ローンなら、将来預金金利(原価)が上がった時には、ローン金利も同様に上げることができる約束だから銀行は困らない。

このあたりまではわかりやすい。

そしてもう一つ、こちらは少し複雑だ。

それは債権を発行してお金を調達する方法で、長期固定金利が特徴のフラット35はこの仕組みの代表格といえる。

フラット35は民間の銀行を窓口にして貸し出されるけど、その資金を実質的に用意しているのは住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)だ。

じゃあ、そのお金はどこから調達しているのか?

住宅金融支援機構は「機構債」というものを発行して証券会社を通じて販売している。

その代金として調達したお金が貸し出される仕組みだ。

ちなみに、国が発行する債券は「国債」、会社が発行してたら「社債」と呼ばれるように、住宅金融支援機構が発行するから「機構債」。

債権である以上、当然ながら投資家に対してなんらかのクーポン(おまけ、金利)を渡さないと買ってもらえない。

では、どのくらいのおまけをつければ買ってもらえるか・・

この時、基準になるのは国債だ。

いくら親方日の丸ともいえる住宅金融支援機構とはいえ、国本体よりはさすがに信用が低い。

だから国債よりもおまけを上乗せしないと買ってもらえないという理屈。

実際には期間が同じ「国債」に対して、およそ0.1%~0.2%上乗せした利回りを約束して発行されている。

そしてこの機構債の利率が仕入れにかかるコスト(原価)ということになる。

さらに機構債を発行するためのコスト、証券会社の手数料なども他に必要で、こちらは0.22%程度かかっているようだ。

住宅ローンの販管費

次に、販管費。

住宅ローンを販売するためには様々な経費が掛かる。

当然各行の事情によって異なれど、少なくとも0.3%、本来なら0.5%くらいはかかると言われてきた。

主なものでは、

  • プロモーション費用
  • 人件費
  • システム開発費
  • 返済期間中に必要な通知物などの経費
  • 店舗などの賃料、維持費

といったところか。

今でこそ差がつきにくくなってきたけど、以前ネット銀行の住宅ローンが金利面で有利だったのはこの辺りの差が大きかったのが原因だ。

ここまではわかりやすい。

忘れてはいけないのが団体信用生命(団信)保険料だ。

団信とは、借主に万一のことがあった時にとりっぱぐれがないように銀行が受取人となっている生命保険のことだ。

生命保険である以上、当然ながら保険料としてコストがかかる。

だがほとんどの場合、「団信保険料は金利に含まれます」というのがお約束だ。

性別や年齢によって異なるとはいえ、死亡保障の保険料としておよそ0.1%くらいは引き受け保険会社に支払われているとみられる。

さらに、金利引き下げ競争が限界に達している昨今では、保障の範囲を広げることで差別化を図ろうと各行懸命だ。

たとえば、カーディフの「8大疾病保障」やクレディアグリコルの「ガン50%保障」などを金利上乗せなしで採用している銀行は多い。

これらは0.15%~0.2%程度の保険料と想像される。

ちなみに、フラット35は2017年の9月まで団信保険料は金利とは別に支払わなければならなかったが、同年10月からは金利に含まれることになった。

その時に公表された上乗せ分の金利は死亡保障のみにも関わらず、0.26%だった。

もっとも、団信に加入しない場合は金利が0.2%引き下げられることから、実質的なコストとしては0.2%と考えて差し支えなさそうだ。

危険負担(リスクプレミアム)

貸し倒れのリスクが高ければ、それに応じた危険負担をあらかじめ見込んでおかなければならない。

同じ銀行で同じタイミングで住宅ローンを組んでも、誰もが同じ金利で借りられるわけじゃない。

実は住宅ローンには店頭金利といわれる定価があって、これは過去20年間ほとんど変化していない。

この定価から金利優遇幅といわれる値引きが行われて実際の金利が決定するわけだけど、この値引き幅がどんどんと広がってきたのが昨今の超低金利の実態だ。

そして、この優遇幅は借りる人の信用度合いによって差がつけられる。

仕事が不安定だったり、転職して間がなかったり、収入に対して借入額が大きかったり、自己資金がなかったり・・・

要は将来返済できなくなる可能性が高そうな人ほど、その危険負担として余分に利率をあげておこうというわけだ。

危険負担なので、上記のような人的な要素だけではなく、購入物件の担保評価によって差がつくこともある。

具体的な例は、フラット35が分かりやすい。

フラット35は返済期間が「20年以内」か「21年以上」かで、

また、物件価格に対して借入額が「90%以内」か「90%超」かでも差がつけられている。

20年以内21年以上
90%以内1.23%1.3%
90%超1.49%1.56%
2020年7月フラット35の金利

上記のうち、借入額が多い(90%超)か少ない(90%以内)かはつまり、自己資金の有無のこと。

一般的に自己資金を出す余裕がある人より、全額借入しないといけない人の方がリスクが高い。

つまり、この部分がリスクプレミアムと考えらえる。

その差は0.26%

また、借入期間が違えばその期間に応じた調達金利に差が生じる。

通常は長期の債権ほどクーポンをたくさん払わないといけない。

その差は0.07%

過当競争の末の利益

最後に、住宅ローンで得られる利益について考えてみよう。

たとえば変動金利の場合であれば、実は、これまでに見た「原価」「販管費」「危険負担」だけを足しても、現在の相場となっている0.4%や0.5%は超えてしまう。

つまり、昨今の超低金利下では利益と言えるものはほとんど発生していないということだ。

現に、2016年のマイナス金利政策のあたりから、かつては積極的に住宅ローンの販売競争を繰り広げていた例えば三菱UFJ信託銀行など一部の銀行では新規募集から撤退している。

それでもなお、多くの銀行では激しい競争にさらされながらも積極的な競争を繰り広げている。

利益の出ないビジネスをどうして続けているのか。

ひとつには、利益の源泉が金利以外にあることが考えられる。

まずは融資手数料。

ネット銀行を中心に、借入時に一時金として手数料を徴収する。

相場は2%プラス消費税(2.2%)。

4000万円のローンなら、88万円。

少なくない金額だ。

貸し出した時点でとりあえず、売り上げが上がる。

少なくとも、直近の売上を求めている現経営陣には好都合だ。

さらに、この融資手数料は将来繰り上げ返済や借り換えをされたとしても返還の必要はない。

むしろ、団信保険料の負担を考えれば、保険が発動する可能性が小さい(顧客が若い)うちに早めに繰り上げ返済してもらうことを願っているのかもしれない。

それと、もう一つ考えられるのは、顧客の囲い込み。

基本的に住宅ローンを組める人は銀行にとって優良な顧客だ。

まず口座が開かれるし将来、銀行が販売する金融商品、定期預金や投資信託や生命保険などの販売につながるかもしれない。

さらに多くの場合、クレジット機能やフリーローン機能が付いたカードもセットになっている。

できれば、借入限度ギリギリまで住宅ローンを組んでもらって、将来家計が厳しくなってきたときにカードローンで10倍以上の金利を回収できれば・・・なんてことを見越しているのでは、と考えるのは少し意地悪過ぎるだろうか。

フラット35の成分表

最後にフラット35(21年以上、9割超の借入)についてその金利の成分表を想像してみよう。

21年以上、9割超の借入の場合、金利は1.3%だ(2020年7月実行分)。

窓口銀行への手数料0.15%
リスクプレミアム0.26%
団信保険料0.20%
機構の販管費0.32%
原価(調達金利)0.37%
合計金利1.30%
フラット35(21年以上、9割超)の成分表(らっきい試算)

まず、お金の仕入れ原価は機構債を買ってくれる人に支払うクーポン、つまりは機構債の利回りプラス機構債の発行販売コスト。

直近(2020年7月発行機構295回10年債)で見るとその表面利回りは0.150%。

ちなみに同じ期限の国債と比べるとその差(ローンチスプレッド)は0.135%。

そして、機構債を発行販売するために証券会社などに支払うコスト(0.22%)を合わせるとおよそ、0.37%と想定される。

次に販管費。

こちらはその他の成分から逆算していくとおよそ0.31%程度見込んでいるものと思われる。

団信保険料は、団信を外した場合に引き下げられる金利が0.2%だから、そのまま0.2%と考えよう。

リスクプレミアムは上記した通り、自己資金あり(融資率90%以下)との比較で0.26%を見込む。

そして、販売窓口となっている銀行(ARUHIなど)にも当然販売手数料が支払われるはずで、こちらの引き当てとしては0.15%程度が妥当だろうか。

こうしてみると、変動金利の水準があまりにも低すぎることに改めて驚かされる。

これはあくまで試算だけど、このように金利の成分を想像してみることは、住宅ローンに関わらず、様々な金融商品を比較検討する際にも役立つから、いろいろと試してみると面白い。

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