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7月 22, 2020

練習船 学校丸

練習船 学校丸
7月 22, 2020

ファイナンシャル・プランニングは学校で学べない、とは巷でよく言われることだ。

確かにライフプランの描き方や住宅ローンのこと、保険や投資の授業なんてものはない。

でも実は、算数も国語も理科も社会もすべてファイナンシャル・プランニングを正しく身につけるための基礎となる。

むしろ、こうした基礎知識をきっちりと持ったうえで、判断力が成熟する時期に学ぶ方がタイミングとしては適切だろう。

技術はあとでいくらでも学べる。

それより問題なのは、船長となる自覚がないまま、突然慣れない大海へ漕ぎ出さなければならないことじゃないだろうか。

以前は会社という船に乗り込めば、船長の自覚がなくてもいずれ目的地に運ばれたのかもしれないが、もはやそんな時代でもないだろう。

ほとんどの日本人は7歳になる年度を迎えると、練習船「学校丸」に乗り込んで、その後多くの時間をこの船上で過ごすことになる。

学校丸での経験がその後の人生に与える影響はとても大きい。

「学校丸」には公立船と、私立船があって、それぞれに特徴はあれど、その教育方針は「教育基本法」の影響下にあるといっていいだろう。

そして、教育基本法には、旧法と新法がある。

旧法は太平洋戦争のあとまもなく制定されてその後60年にもわたって存在した。

新法は21世紀になり時代の変化に適応するため見直しが図られたもの。

今も続く現行法だ。

それでは、旧法下での旧型船学校丸と新法下での新型船学校丸、それぞれどんな特徴があるのだろう。

旧教育基本法(1947年~2006年)

らっきいをはじめ、日本人の約8割はこの法律下で運営される旧型船学校丸での訓練を受けてきた。

この旧法での教育の目的は、第一条にこう書いてある。

第1条(教育の目的) 教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。

(文部科学省HPより)

平和的な国家及び社会の形成者だから、決して海賊船の船長を育成していたことでないのはすぐにわかる。

そして、キーワードは勤労のようだ。

勤労ってなんだろう。

勤労(読み)キンロウ

1 心身を労して仕事にはげむこと。
2 賃金をもらって一定の仕事に従事すること。

デジタル大辞泉 小学館

要するに旧法での学校丸の目的は「ちゃんと税金を納めるいいサラリーマンを育てよう」ということのようだ。

自らの力で海を渡る船長を育てることよりも、国家という大型客船(当時の目的地は総中流のという港)に乗り込んで、決まった役割を果たしてくれる優秀な船員を養成することが目的だったといっていい。。

念のため言っておくと、らっきいの価値観として、個人の権利と公共の大切さだと、やや公共寄りに偏っている自覚がある。

その意味では、当時の教育基本法に沿って育成してくれた先生方はいい仕事をされたのかもしれない。

決して皮肉ではなく。

さて、現行法下の新型船学校丸の方はどうだろう。

現行の教育基本法(2007年~)

戦後の復興期にはむしろ旧法が目指した方針が合理的だったのかもしれない。

現に、団塊の世代は旧法で得た組織人としての能力を発揮し、24時間戦う企業戦士として高度経済成長をけん引してきた。

ところが、バブル崩壊を経て低成長時代に入り、大型船が次々と座礁し、船員があふれる時代に入ると様々なひずみが意識され始める。

そこで、60年ぶりに改正された新法の目的はこうだ。

第一条 教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。

国家及び社会の形成者として、の文言は変わらない。

ただ、「勤労」の文字は消えている。

もっとも第2条(教育の目標)にはまだ勤労の文字が見える。

第二条 教育は、その目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。

一 幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。

二 個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。

三 正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。

四 生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと。

五 伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。

それでも、全体の印象として、旧法の様にただやみくもに勤労推奨でもないようだ。

「自律」「主体的」という文言には、船長を育てようという意図も見える。

小学校に入学するときから新法下での教育を受けてきた、あるいはこれから受けるのは2000年以降生まれ。

ちょうど成人を迎え始めた世代だ。

その数は現在約2000万人。

そして、今まさに人生航海に漕ぎ出そうとしている。

旧法下の価値観で育った日本人がその5倍以上いる、そんな世の中に漕ぎ出していくのは大変なのかもしれない。

組織内の忖度が身に沁みついた自分が嫌いではないけれど、過去の常識に縛られない、自由な発想を持った君たちをどこかでうらやんでる、そんな大人に囲まれていることを知っておいてほしい。

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