「航海術」には大きく分けて3つの技術がある。
| 1. | 気象を読む技術 |
| 2. | 船を操る技術 |
| 3. | 現在地を知る技術 |
1.気象を読む技術
航海は気象に大きく左右される。
特に、帆船の時代には気象をどれだけ正確に把握できるかがその船の命運を握っていた。
今でこそ天気や風向き、潮の流れまで気象予報はかなり正確になった。
これは気象衛星や観測船から送られてくる膨大なデータを高性能コンピューターで高速処理することができるようになったから。
でも天候の変化に欠かせない気圧計ですら発明されたのは17世紀の半ばになってから。それよりも前、シェイクスピアの時代の航海士は気象の変化を独自のアルゴリズム(経験と勘)で処理していた。
自身が使いうる限られた情報の中で、変化する気象をいかに正確に読むか。
と同時に、いかにその限界を自覚するか。
これを人生の航海術「ファイナンシャル・プランニング」で置き換えれば、気象の変化は人生を包む「経済や社会情勢の変化」
経済や社会の変化を読み、同時に読み切れないことの限界も知ることが人生航海には重要になってくる。
2.船を操る技術
天候や波の高さ、潮の流れはある程度まで読むことはできてもそれをコントロールすることはできない。
そこで必要になるのが自在に船を操る技術だ。
気象に合わせて帆を広げる、あるいはたたむ。
嵐を避けるため全速で進む、方向を変える、時には錨を下ろして停泊する。
気象そのものはコントロールできなくても、それに応じて船を自由自在に操ることができれば危険を避けることができる。
むしろ気象を味方につけることも可能だ。
変化に柔軟に対応するためには、ロープの使い方のようにまずは基本となる技術が必要だ。
人生航路ではお金の使い方「ファイナンシャル・リテラシー」が基本技術となる。
参考)パーソナルファイナンス教育スタンダード(日本FP協会HP)
ファイナンシャル・リテラシーを備えることができれば、刻々と変化し、そして先を見通しにくい経済社会情勢にも柔軟に対応することができる。
3.現在地を知る技術
気象を読み、自由自在に船を操れるようになったからといってまだ安心はできない。
実は、航海術にとって最も重要な技術が現在地を知る技術だ。
いくら正確な方向へ船を進める技術を持っていたとしても、現在地を見失っては目的地にたどり着くことはできない。
ましてや見渡す限り目印が見えない大海原では、下手をするとそのままずっと、食料が尽きるまで漂流を続けることになるかもしれない。
航海の途中、どうやって自分の位置を測ればいいんだろう。

今は優秀な航海士でなくてもスマホを一つ持っていればGPS(グローバル・ポジショニング・システム)が自分の位置を教えてくれる。
かつての航海士たちは現在地を地図や星図、格子座標など様々なツールを用いて知ろうとしてきた。
同じように今の自分が人生航路のどの位置を進んでいるのか、目的地はどっちの方向で、あとどれくらいの距離が残されているのか・・・
それを知るためにファイナンシャル・プランニングで欠かせないツールとなるのが「ライフプランシミュレーション」だ。
これは、過去、現在、未来にわたって給料や退職金、年金などの「収入」と、生活費や住居費、教育費、レジャー費などあらゆる「支出」を見通すことで、将来の貯蓄額(資産)の変化を見ていくツール。
すなわち、現在地と目的地、そこに至る道筋を可視化するツールだ。
今ではネットで手軽にダウンロードできるものもあれば、自身でエクセルで作成することもできる。
ただ、シミュレーションの作成にあたっては公的年金、運用状況、金利の変化、社会状況の変化、転職の可能性など不確定な要素も多い。
それらの要素を総合的にバランスよく判断するためには相応の経験が必要だ。
現在地の小さなブレは将来取り返しのつかない大きなブレにつながるのに、残念ながら人生航路に役だつGPSはまだ発明されていない。
将来はAIが人生航路を示してくれるかもしれないけれど、どうかそれまでは経験豊かな人生の航海士、ファイナンシャル・プランナーの力を頼りにしてほしい。



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