
保険の世界も危険が潜んでいるからうっかり立ち入ると注意が必要だ。
本来、保険の仕組みは素晴らしいもの。
あらかじめたくさんの人が少しずつお金を出し合っておいて、自分の力だけではカバーしきれない非常事態が起こった人を助けようという相互扶助の考え方が基本になっている。
人類の知恵の結晶といってもいい。
問題はその素晴らしい仕組みを合理的に使えているかという点だ。
今日本では約9割の世帯で生命保険に加入していて、その平均保険料は毎月3万円を超えている(生命保険文化センター 平成30年度「生命保険に関する全国実態調査」)。
たとえば成人してから80歳まで60年間かけ続けたとしたら2000万円を超える買い物だ。
普段、食費や光熱費、お小遣いなんかをせっかくコツコツ節約していても、いつの間にかその何倍もの保険料を垂れ流していたなんてことにもなりかねない。
保険は万一のときに人生を守るための仕組みであるはずなのに、そのせいで万に9999の人生を犠牲にするのは本末転倒だ。
保険業界
保険業界は総じて押しが強い営業の世界。
らっきいも保険を販売しているからよくわかるけど、保険って形のないもの、普段何事もなければ実感のないものだから、お金を払って加入してもらうのは簡単なことじゃない。
だから心理学をベースにした顧客心理を操る術、いわゆるセールススキルが特に発達してきた業界だ。
このあたりは20世紀中ごろから主にアメリカで研究が進んだ分野で、もちろん自分では気付けない必要なものを手にするための助けになる場面も多い。
だから一概に悪いこととも言えないけれど、使う人間次第では本当は必要のないものまで欲しくさせるマジックにもなりえるから注意が必要だ。

それならインターネット保険はどうかな?
ネット通販、いいよね。
いろんなものを自由に比較できるし、自分のペースで納得いくまで検討できることは魅力だ。
じゃあ、保険もネット通販がいいのかっていうとこちらはまた違った危険が潜んでいる。
保険の種類
ここで保険の種類について簡単に知っておこう。
保険には大きく分けて2種類ある。
「損害保険」と「生命保険」だ。
危険を伴う航海には保険がつきもの。万一船が沈んでしまえば積み荷は海の藻屑、損害は甚大だ。
そんな時のために発達したのが海上保険。万一の際、失った積み荷の価値だけ補償する。
火災保険や自動車保険も仕組みは同じ、これらを損害保険という。
万一の際、失った過去を補う保険とも言える。
そして、自分の身に万一が起こった時に失った未来を守るのは生命保険。
本来健康に過ごしていたら稼げるはずのお金が、病気やケガで稼げなくなった時にはなにかで埋め合わせないといけない。
十分な貯金があればいいけど、出港して間もない人にそれはなかなかむずかしいこと。
そんな時に力になる。
じゃあ、失った未来の価値ってどんなふうに計算したらいいんだろう。
未来には重いも軽いもないんだけど、万一のときに必要となる経済的な価値はひとそれぞれ、千差万別だ。
ここを間違うと本当は必要のない大きすぎる保険に加入して無駄な保険料を払い続けたり、それとは逆に万一の時に不足してせっかく加入していた保険が役に立たないなんてことにもなりかねない。

それはやだね・・・
生命保険を設計するプロセスで最も技術が必要とされるのが「いくらの金額」を「どの期間」保障しないといけないかといういわばサイズの決定だ。
そこがしっかりすれば後は保険料の支払い方を検討する比較的シンプルな選択だ。
「掛け捨て」がいいのか「貯蓄性のある」ものがいいのか、「短期間で払い終える」のがいいのか「ゆっくり長く払っていく」のがいいのかなんてことを決めていけばおのずと保険料が決まってくる。
そして、保険のサイズは結局のところ、その人がこれからのライフプランで必要としているお金のうち、万一時に不足してしまう金額の合計。
だから誰もがそれぞれに異なるライフプランを具体的に描いてみることがまずは必要なんだけど、これがネットでできるのかといえばやっぱり難しい。
だから、万一が起こったときの損害額がはっきりしていてブレ幅が比較的小さな自動車保険はネット保険で、将来の見通しによってブレ幅が大きく生じる生命保険では信頼できる担当者と十分に話し合ってから加入するといった使い分けをお勧めする。


