
ここにもまた、たくさんの危険が潜んでいるよ。

うん、なんだかこわい世界・・・
そう感じる人は多いようだね。
すごく興味を持っているんだけど、なんとなく不安で最初の一歩がなかなか踏みだせない。
かと思えば危険に気付いているのかいないのか、どっぷりはまってちょっと危なっかしい、見ているこっちがハラハラとする人もいる。
日本ではどこか両極端な人が多いようだ。
そしてそのどちらにも言えるのが「投資」と「投機」の区別がついていないこと。
「投資」と「投機」
どちらも自分の持ちものを投じてより多くの儲けを得ようとする点ではよく似ている。
違いとしてはよく、短期的なものは投機、長期的なものは投資と言われたりするがそうとも限らない。
2つの決定的な違いは「投機」はゼロサムゲーム、「投資」は非ゼロサムゲームだということ。

ゼロサムゲーム?
ゼロサムゲームというのは、勝つ人がいればそれと同じだけ負ける人がいるゲームのことだ。
例えばさいころを振って偶数なら勝ち、奇数なら負けというゲームをイメージするといい。
一度だけなら勝ち逃げもできるけど、繰り返していると結局どちらも得をしなくなってくる。
これをたくさんの人数で行っても同じことが言える。結局は誰かが得した分を誰かが損しているだけ。
一人が大勝ちしてもほかのみんなが少しづつ損をしたり、みんなが少しずつ得をしたと思っていたら、どこかで大負けしている人がいる。
損得を計算したら結局は「0」
これがゼロサムゲームだ。
リターンが生まれる源泉は「誰かの損失」と「時の運」でしかない。
しかも、実際には胴元が参加料をピンハネするので参加者全員を総合すると最初から負けが決まっている。

まるでギャンブルみたいだね
その通りだね。
一方で「投資」では新たに生まれるリターンの配分を受けることを期待する。
少なくとも非ゼロサムゲームだ。
このとき、リターンの源泉は「リスク」と「時間」だ。
人はリスクを怖がる。
だからこそ、リスクをとる人にはリターンを得るチャンスが生まれる。
また、人は待つことが嫌いだ。
だから、長い時間を我慢できる人にもリターンが生まれる。
大航海時代、船乗りたちは命がけの危険な航海になぜ出たのだろう。
それはひとたび成功すれば、かけたお金や労力以上の成果(リターン)が生まれることを知っていたからだ。
現代の企業でも同じこと。
時間をかけ、労働によって新たな付加価値を生み出すことができれば儲け(リターン)が生まれる。
だがそのためにはまず最初に資金が必要だ。
だから、将来期待される価値(リターン)の配分を約束して多くの人から資金を集める。
これはつまり株式投資そのものだ。
危険な海域
ところがこうした基本的なことすがわからないまま「投資」のつもりで「投機」の世界に踏み込んだり、「投資」で得られるリターン以上のコストを金融機関に吸い上げられたりしている人があまりに多い。
FX投資?
例えば「FX投資」なんて言葉があるけど、FX(為替証拠金取引)というのは為替(通貨の交換レート)が上がるか下がるかに張っているだけのゼロサムゲームだ。
多くの人がFXに参加することで、投資としての何か新たな価値が生まれているわけではない。
生まれているのはFX業者の手数料だけだ(為替取引の規模拡大には貢献しているのかもしれないが・・)。
儲けが出ているときは単にゲームに勝って、負けた人の掛け金を回収しているだけ。次も勝てるとは限らない。
だから「FX投機」と呼んだ方が誤解がなくていいと思うけどなぜかそうはならない。
FXが「投機」だと理解して挑戦している人はいい。
でも多くの人は「投資」のつもりで参加して勝ったり負けたりを繰り返し、どこかで大負けして撤退しているのも現実だ。
不動産投資
あるいは「不動産投資」でもこんなことがある。
確かに「不動産投資」はリスクをとり、時間をかけることで「家賃収入」という継続的なリターンが生まれる。
その意味で「投資」であることに異論はない。
問題は、そのリターンが誰にどのように分配されているかだ。
オーナーは様々なリスクをとる。
ローンの返済リスク、空室リスク、家賃が下がってしまうリスク、想定外に修繕費用がかかってしまうリスク、火災、地震などの天災リスク、入居者が自殺するなど事故物件になってしまうリスク、ほかにも経済情勢が大きく変わったり税制が変わったりするリスクなど数え上げればきりがない。
そして、そのリスクを抱えるからこそリターン、つまりは家賃収入が得られるわけだけど、そのすべてが手元に残るわけじゃない。
少し冷静になってそのリターンが自分じゃない外部(銀行、販売会社、管理会社、国・地方自治体etc…)にどのくらい支払われ、どのくらい手元に残っているのかを計算すれば明らかな矛盾に気づくはずだ。
特に「新築ワンルームマンション投資」では多くの場合まともな分配はなされない。
同じリスクから得られるリターンには限りがある。なのにそれを気前よく他人にばらまいている。
そしてこれが有効な「投資」だと信じて、結局は後悔する人が後を絶たない。

どうしたらいいのかな?
その原因の一つは金融機関や不動産会社などの営利企業が行う「投資教育」と称した行き過ぎたプロモーション活動にあるだろう。
もちろん投資を行うにはこうした営利企業を利用することは必要だし、うまく使えばとても便利だ。
でもその前に「操船技術を高める」で紹介した3つの基本技術
- 金利を使いこなす技術
- リスクとリターンを見極める技術
- リスクマネジメント技術
だけでもしっかり頭に入れておいてほしい。
これだけでも、行く先に待ち構える危険の大きさがわかるし危険への対処に道筋がつく。
こうした基本的なことを知らないままうっかり立ち入ると失敗する。
いい勉強になった、では済まされない、取り返しがつかないダメージを負ってそのあとの航海が続けられないこともある。
「投資」は人生の目標へ向かう大切なツールだ。
安定した航海を長く続けるために、早いうちに理解を深めうまく付き合っていってほしい。


